活動報告

2011/11/9

維新の会マニフェストへの批判

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「大阪維新の会」の知事選・大阪市長選「共同マニフェスト」について
                  2011年11月9日 明るい民主府政をつくる会・政策宣伝委員会

 「大阪維新の会」は11月1日、知事選・大阪市長選で「府市共同マニフェスト」をだしました。
 9月に知事選、市長選それぞれだした「マニフェスト」(素案)を手直しし、「府市共同マニフェスト広域編」、「市長選マニフェスト総論」「各論」(政策編/統治機構・府市統合本部編/統治機構・基礎編)、「大阪都で実施する成長戦略」という構成です。
 その特徴は次のとおりです。

 ※ なお、この「マニフェスト」は、発表後も手直しを加えているようです。たとえば1日発表の文書には「近隣自治体との合併をコーディネートする」とあり、テレビ討論でその問題点を指摘すると、橋下代表は「変わりました。最終版は。見て下さい」などといいました。しかし、9日朝時点でも、「大阪維新の会」ホームページにはでていません。

(1)“大阪府・大阪市のっとり”の設計図
 「大阪維新の会」の「マニフェスト」がもっとも大きな柱にしているのは、①「大阪都構想」、②「公務員制度を変える職員基本条例」、③「教育の仕組みを変える教育基本条例」と、新たに加えた、④エネルギー供給体制を変える関電株主主権行使です。
 うたい文句には「統治機構を変える、体制を変える、権限・財源を今の権力機構(体制)から住民へ取り戻します」とあります。
 橋下氏は10月23日、市長選出馬を表明した直後になんばで演説したとおり、「大阪維新の会」が「ものすごい権力闘争」をやって「日本のシステムを変える」一歩にするといって、いわば“大阪府・市のっとり”宣言をおこないました。「マニフェスト」は、その設計図であり、「大阪維新の会」の手に「権力」を奪い取ろうというものです。
 ところが、「マニフェスト」を見て驚くのは、「教育・職員 2つの条例案」の核心を書いていないことです。「橋下知事の一方向性だけが『大阪の教育』と決めてしまうのはこわいこと」(府立高校PTA協議会)など、批判がもっとも強い部分を隠して、「新しい公務員像を打ち立てる(職員基本条例案)」「教育を再生する」「がんばる先生に報いる」などとうたっています。
 これで選挙に勝てば、「民意を得た」と強行するファッショ的な手法です。

(2)知事としての独自策はどこに?
 「知事選マニフェスト」についていえば、この4年間、知事としては何を進めるのかというと、結局は「大阪都づくり」と巨大インフラの整備、「2つの条例」の強行以外、ほとんど具体的なものはありません。
 「府民サービスの抜本改善」と項目を立てていますが、消防、病院から保証協会などの「一元化」を書くだけです。そのなかに国民健康保険料が2万円以上アップする「保険制度の広域化」もしのばせています。
 この点を「朝日」主催の討論会で、「大阪維新の会」に問うと、「知事、市長で政策が一致した2人が選ばれる前提で書いている。だから『大阪都』をつくる前に統合推進協議会をつくり、そこで決定して各議会の了承をとってやっていく」とこたえました。
 これでは仮に知事の座についても、今後4年間、府独自の仕事、府民に目を向けた施策は展開されず、“橋下市長”に目を向けた仕事ばかりがすすむといって過言でありません。

(3)破たんずみの路線を焼き直した「成長戦略」
 「大阪都」については、「稼ぎ、儲けるための方策」で、「実質成長率年2%以上、10年間で経済規模を2割拡大」ができると書いています。
 しかし、その方法というと、大阪を「ハイエンド(高付加価値創造)都市」「中継都市」や「世界最高水準の国際エンターテインメント都市」にする。そのため「関空観光ハブ」計画や関空と結ぶ鉄道・なにわ筋線(3900億円)や高速道路・淀川左岸線延伸(3500億円)に加え、「関空リニア」も明記しています。JR東海の計画でも東京ー大阪のリニア開通は2043年です。そこから関空までのリニアは、3000億円以上かかりますが、いったいいつの話だというのでしょう。
 しかし、これらはすべて破たん済みの「関空・ベイエリア」路線の焼き直しにすぎません(「ヒト・モノ・カネ・情報が集まる」というキャッチフレーズも当時とうり二つです)。関空開港後、大阪経済(府民総生産)は3兆円も落ち込んでいます(1994年41兆円から2009年38兆円)。求められるのは、こうした「大企業・外需だのみ」の経済政策そのものの転換なのに、これでは大阪経済のゆがみをさらに拡大するだけです。
 そもそも「中継都市」という発想そのものが、大阪府民と中小企業を元気にして大阪経済を立て直すという発想と無縁のものです。

(4)カジノ構想の問題
 この「成長戦略」のなかに「カジノ」構想が見え隠れすることは見過ごせません。
 橋下知事は、新著の『体制維新――大阪都』(堺屋太一氏との共著)で、「(「大阪都」になれば)産業政策、成長戦略、カジノ構想等の観光戦略・・・大阪全体に影響する戦略が一本化されます」とのべています。
 今回の「マニフェスト」には、「国際村」とか「国際エンターテインメント都市」の文字が並びますが、この中身が「カジノ」だというのでしょうか。だとすれば、それを隠した「マニフェスト」をだして、選挙に勝てば、これも「民意」というペテンで「カジノ」づくりに道をつけるのでしょうか。

(5)「大阪都」の大きな矛盾
 「大阪都」づくりについて、「マニフェスト」では「素案」にあった「住民投票の実施」をなぜか削ったことを含め、あれこれの修正を加えています。
 第1に、「大阪都」は「広域行政を一元化」するもので、住民サービスは「基礎自治体」でやればいいといいます。しかし、「広域自治体」であれ、「基礎自治体」であれ、「自治体」なら、地方自治法でうたわれた「住民の福祉の増進を図ることを基本」にするのが当然です。「大阪都」は、この精神をすべて投げ捨てようとするものです。
 第2に、「マニフェスト」は「大阪都ができれば、すべてうまくいく」といいます。逆にいえば、「大阪都ができない限り何もできない」という前提です。
 しかし、その「大阪都」は彼らの見通しでも、どんなに早くても踏み出すのは4年以上先の話です。ところが「マニフェスト」は、この4年間、知事、市長としての施策を示し、とくに「市長選マニフェスト」では、地下鉄運賃の値下げ、敬老パスを私鉄の利用をふくめてだすことや、水道料金の値下げ、中学校卒業までの医療費無償化、公立小中学校教室へのクーラー設置など、バラ色の施策を描きます。これは「大阪都」ができてからのことで、それまではガマンせよというのしょうか。それとも「大阪都」ができなくてもやれるというのでしょうか。それなら、そもそも「大阪都」などいらないことになるのではないでしょうか。

(6)原発問題について
 新しい「維新マニフェスト」では、「原発依存度を下げる」とうたい、素案にはなかった「太陽光パネル」もいいだしました(橋下府政下では、住宅への太陽光パネル補助制度は皆無でした)。
 原発問題では「関電の株主提案権を行使」(大阪市のことだが)を新たにとりいれています。ところが一方で、「原子力発電所の安全確保」を「関西広域連合や関係市町村と共同でとりくむ」といいます。福島原発事故はなお終息のメドもつかないのに、どうすすめるのでしょうか。

 ――11月1日付の「読売」によると、今回の選挙争点として、府民が注目しているのは、①経済活性化や雇用対策(80%)、②医療や福祉政策(77%)、③地震や津波など防災対策(71%)です。「大阪都」は47%で9項目で最下位です。
 こうした府民の思いに正面からこたえた政策は「梅田マニフェスト」以外にありません。
                                    以上

活動報告|21:21

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