資料・政策

2011/06/27

大阪の小・中学校

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橋下知事の「35人学級廃止」に府民が声を上げて断念

日本の1学級あたりの児童・生徒数は、OECD諸国平均(小学校21.5人、中学校23.8人 2008年)を大きく上回っています。県独自で30人学級を行っているところはありますが、大阪府の橋下知事は、2008年2月、知事になったとたん、大阪府が行っていた小学校1,2年生の35人学級さえ廃止すると言い出しました。
PTAや校長会などが立ち上がり100万を超える署名を集め、35人学級廃止を断念させました。
義務教育への国の負担の割合を3分の1から2分の1へ戻させて、大阪府として、小・中・高校の30人学級を計画的にすすめましょう。

学力調査で子どもは伸びる?

橋下知事は、「全国一斉学力調査」で大阪の成績が低かったことに対し、「このザマはなんだ!」と怒り、今年度から「大阪府一斉学力調査」(小学校6年生に国語・算数、中学校3年生に英語・国語・数学)を実施し、市町村別結果の公表を通じて、競争に拍車をかけています。今、日本の子どもたちの「学習嫌い」は、世界でトップクラスであり、一方的に学習量をふやしたり、「一斉学力調査」を実施したりしても、逆に「学習嫌い」をふやしたり、劣等感を植えつけたりするだけです。
今、橋下府政が行うべきことは、競争で子どもを追い立てるのではなく、教員を増やして学習が遅れている子どもを支援する体制をつくったり、ゆったり学べる少人数学級をすすめることです。

新学期 先生がいない?!

大阪府の学校では、教員や講師が不足し、担任が長期不在になったり、免許以外の教科を担当するという異常事態がおこっています。マスコミでも、「和泉市の中学校で、生徒が校長に『早く先生を見つけて』と直訴した」「堺市で、病休に入った数学教員の後任講師が見つからず、市教委は英語教員に数学を担当させた」「(政令市を除く)府内の中学で教師41人が欠員」など報道されました。
この事態は、本来、正規で雇わなければならない教員を、臨時の講師で埋めてきたことからおこってきたものです。
橋下知事になってから3年、教育予算は減らされ続け、2010年度の教員採用は4,923人採用すべきところ、4割の1,982人しか採用していません。残り2,941人は1年限りの任期付き講師で補われます。大阪府自ら非正規労働者を増やしているのです。

通報は減っていないのになぜ小学校の警備員減らす

2001年の大阪教育大学付属池田小学校事件をきっかけに、府内の小学校に警備員が配置され、大阪府が一校につき約80万円の半額補助をおこなってきました。しかし、橋下知事は「小学校の安全は市町村の責任」と、2011年度から補助金を廃止。市町村によっては、警備員の存続ができないところも出てきています。府警本部発信の「安まちメール」での「子供被害情報」が今年の2月15日からの1週間で47件を超えています。安心が確保されていない中で、学校警備員配置は、子どもの安全を願う保護者の強い要求であり、継続すべきです。
←警備員激減を報道する毎日新聞(6月7日)

 

 

 

 

 

いざという時の避難所になる学校の耐震化が遅れています

全国の公立小中学校の耐震化率は73.3%で前年より6.3%改善していますが、大阪は全国最多の2649棟が倒壊の危険性があり、耐震化率は67.0%です。府立高校は58,2%です。
3月18日、改正地震防災対策特別措置法が成立し、耐震補強工事の国庫補助率を2分の1から3分の2に引き上げる措置が、5年間延長されました。東日本大震災の経験・教訓からも、安心・安全対策として子どもたちの命を守り、地域の災害避難センターとなる学校の耐震化は、橋下府政の喫緊の課題です。

大阪府の中学校給食実施率は全国最低

大阪府内の中学校給食の実施率は、7.7%(2010年度)で、全国平均81.6%に対し、全国最低となっています。
大阪府は、大阪市、堺市を除く市町村に対し、中学校給食導入促進事業として2011年度から5年間に246億円の財政支援をおこなうことを具体化しました。この内容は、調理室の整備など初期費用の1/2だけを補助するものです。橋下知事は、実施の責任は市町村にあるから、あとは市町村のやる気次第と言っていますが、財政事情のきびしい市町村は、ランニングコストを考えると、すぐには実施できません。
大阪府に住むどの子どもにも中学校給食が実現できるよう、市町村に対する初期費用の補助金増額など、中学校給食実施に必要な補助金制度を確立することが求められます。

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