活動報告

2023/08/18

大阪府知事選についての「明るい会」の総括

この記事は、約10分で読めます。

 今年4月9日投開票で行われた大阪府知事選挙について、「明るい会」は、このほど総括をまとめました。

 全文を紹介します、(PDF)

 

2023年7月31日

2023年大阪府知事選挙の総括

明るい大阪民主府政をつくる会

常任幹事会

はじめに

明るい民主大阪府政をつくる会(以下、「明るい会」)は、大阪府知事選挙(2023年4月9日投開票)において、12年ぶりの独自候補として、無所属のたつみコータロー氏(元参院議員)を擁立して、1月初旬から短期決戦のたたかいに臨んだ。しかし、知事選挙の結果については、26万3,355票(得票率約8%)を獲得したものの、残念ながら及ばなかった。

現職の吉村洋文氏(大阪維新の会)は、過去最高の243万9,444票(同約74%)、有権者の約3割を占める得票で再選した。政治団体「アップデートおおさか」は、知事候補に谷口真由美氏(大阪芸術大学客員准教授)を擁立、大阪市長候補として自民党を離党した北野妙子氏をいずれも無所属で擁立した。立憲民主党は、谷口氏を「自主支援」し、自民・公明が「自主投票」とするなど、独自候補を擁立することができない事態を招いた。

このような選挙の結果を受けて、「なぜ維新が大勝を果たしたのか」、「どうすれば維新に勝てるのか」、「なぜ候補者を一本化できなかったのか」など、率直な意見が寄せられている。

ついては、十分な総括を行うとともに、「明るい会」の役割を再確認し、新たな知事選をたたかう値打ちと捉え、さまざまな課題や困難を克服する努力が求められている。

 

1.「論戦の力」どんな役割を発揮してきたのか

知事選の重要なテーマである「カジノ誘致」「コロナ対策」「教育改革」を中心に「たつみコータローレインボー・プラン」として政策をまとめ、トークライブやテレビ討論でも積極的に訴えて論戦を展開した。そして、維新がもっとも嫌がる「カジノ問題」を大きな争点に浮かび上がらせることができた。さらに、「グリーン革命・ニューディール」をカジノに代わる経済成長の政策として、環境問題にも踏み込んで府民の関心と共感を呼ぶことができ、今後とも新たな政策づくりや要求運動など積極的に活用できるものとなった。

維新は、「カジノ問題」「コロナ対策」に一言も触れない「大阪府市政策集(維新マニフェスト)を発表したが、批判に押されて「カジノ」を語らざるを得なくなり、「カジノはIR面積の3%」などウソとペテンで逃げ切る姿勢に終始した。その一方で、「過去の大阪に戻すか前に進めるか」という「虚構の土俵」を敷いて、「二重行政のムダを削れば成長する」「身を切る改革で財政再建」「その力で教育無償化」など大阪の行き詰まりの要因や責任を棚上げにし、街頭宣伝やSNS発信を徹底させた。

多くの在阪メディアが維新の政治姿勢への批判も検証もなく、維新の発信を垂れ流していた。また、国と大阪の政治の歪みのおおもとから改革を訴える政党や労組、民主勢力や「市民と野党の共闘」をつぶすために先兵の役割を果たした。

一方で、自民党などの陣営が維新との正面対決を避ける態度をとり、自民党支持層が大量に吉村氏に流れるなど、支持基盤は大きく崩れている。

こうした状況のなかで、「維新フェイク宣伝」に対して、単なる「批判」だけに終わらず、その根本的な要因を鋭く切り込み、維新と違う「もう一つの選択肢」である対案を示すことが大きな課題となっている。

知事選でたつみ候補がいろんなステージで「論戦」をリードし、府民にもわかりやすく「維新政治の本質」を訴え、大きな共感を得るなど新たな一歩を築いた。

 

2.「共同の力」多数派形成できる条件はあったのか

「明るい会」独自候補としてのたつみ氏擁立は、「コータローさんが出馬すると聞いた時、大阪の未来に希望を感じた」「これで元気な気持ちでたたかえる」「自分たちの要求・政策を堂々と言えるのがうれしい」など、多くの歓迎の声が寄せられた。「候補者が抜群で自分たちの要求をまっすぐに届けてくれる力強さがある」との感想も寄せられている。

しかし一方で、「1月の出馬表明では遅すぎる」「(独自候補は評価に値するが)カジノ反対での共同の候補者調整を図るのが望ましい」「市民と野党による統一候補を立てることが勝利への道」と維新の候補者に対抗するためにも、自民党支持者を含む「反維新勢力」による「カジノ反対で候補者一本化」を求める根強い意見が一部で出された。

この「候補者の一本化」にあたっては、「共同の意思」「共通政策上の一致」「対等平等と相互尊重」などが不可欠である。しかし、今回の知事選ではその条件が整わなかった。

谷口候補とアップデート大阪が「カジノ反対」を明確に表明できず、「カジノ反対」を掲げる団体や個人に対して一線を画す態度をとった。引き続き、広範な府民との共同を広げていく姿勢は変わるものではなく、府政の転換をめざし共同を追求することは重要である。

論戦・政策では、維新が嫌がる「カジノの争点化」を論戦の土俵に乗せることができたことは評価できる。さらに、カジノ誘致反対の幅広い団体との共同を広げることができた。

それと同時に、「カジノに反対」の立場でも、維新を選択した人が少なくなかったことが出口調査などでも明らかになっており、こうした状況をどう分析するか重要な課題である。

どんな共同でも「反維新」だけで勝てる条件は広がらない。維新政治を打ち破るために各界各層の幅広い府民の共同が必要であり、「どんな府政をめざすか」「切実な要求を阻むのは誰なのか」を府民要求と結合させた展望を示し、維新政治を終結する必要性を府民に示すことが重要である。だからこそ、①府民多数を結集できる明確な政策を打ち出す、②要求で一致する勢力が相互協力で立ち向かう体制、③中心的役割を担うべき「明るい会」が政策的・組織的にイニシアチブを発揮できる体制強化が重要な課題となっている。

 

3.選挙体制、組織・宣伝活動など課題

(1)知事選だけでなく日常的な活動の強化を

12年ぶりの独自候補を擁立した選挙体制では、立ち上げから本番にかけて、幾多の困難を抱えながらも「派遣スタッフ」をはじめ、地域と団体が懸命に奮闘してきた。しかし、たつみ選挙事務所の運営をはじめ、万全の選挙体制で臨むことができなかった。幹事団体と地域連絡会を中心にして、それぞれ責任の明確化と役割分担など総括し、日常活動の強化と4年後の知事選勝利をめざす新たな展望を示すことが求められている。

「たつみコータローレインボー・プラン」は、幹事団体と地域連絡会でも大いに歓迎され、宣伝時でも府民に支持と共感を広げることができた。しかし、「もっと学び合える時間があればよかった」「これを活かすため、次の担い手がつくれなかった」との意見があり、政策づくりや「しゃべり場」の開催、テーマ別連続学習会など、早い時期からの知事選に向けた日常活動の推進と幅広い府民に働きかける工夫など新たな課題となっている。

 

(2)たつみ支持を広げる地道な府民との総対話

「明るい会」として、知事選勝利に向けた「府民との200万対話」という目標に対して、最終的には71万8,241対話という到達であった。これまで知事選の意義や「明るい会」の政策・要求をはじめ、総対話でたつみコータロー支持を広範な府民に訴える状況に至らず、知事選を勝ち抜く府民との対話活動での大きな支持を得ることができなかった。

知事選をたたかう当初から幹事団体・地域での意思統一や結集体制を含めて、重大な問題を最後まで克服することができなかった。あらためて「明るい会」構成団体の組織的力量をさらに高めて、地域連絡会の確立が急務となっている。

各団体や地域の独自課題もあるが、「選挙の時だけでなく日常的に地道な活動」が今こそ求められている。「明るい会」としても知事選に向けた取り組み強化が求められている。

 

(3)トークライブやSNS発信など新たにチャレンジ

宣伝戦では、大型ビジョンカーや大画面スクリーンを使って、双方向型による「トークライブ」を積極的に取り組んだ。たつみ氏への意見や質問が相次ぐなど、訴えを聞いた府民には共感が広がった。少なくない街頭カンパが寄せられた。

毎週の「ほっとカフェ」放映、ツイッターなどSNSを積極的に活用した情報発信に取り組み、未経験者が参加した新しい挑戦であり、多くの構成員が参加できる手立てや工夫など、さらに効果的な発信が求められる。幅広い層との若者が集まる「たつみ応援チーム」があらゆる活動で大きな力を発揮し、「明るい会」の宣伝など新風を吹き込んだ。また、選挙期間中だけでなく、みんなが関心を寄せるSNSの習熟が求められる。

維新は、選挙戦でも「カジノ」をひたすら隠し、「大阪を前へ進める維新は挑戦をやめない」「日本一の子育て・教育サービスの実現」「府市一体の成長戦略」などの政策を掲げた。街頭宣伝では、「明るい会」とたつみ候補に対するデマを含めた反共攻撃を仕掛けた。

府市で知事・市長が手を結んで10年間におよぶ維新政治の実績から「暮らしがよくなった」「景気を下支えしてくれている」など、維新が評価される宣伝にどう対抗できるのか。

日常的に府政・大阪市政問題を共有し、「明るい会」がたたかいの旗を振り続けるためにも、自らの位置と役割を発揮できる再構築が重要である。統一地方選挙での府議選をはじめ前半戦のたたかいを知事選・大阪市長選を軸にし、選挙全般を組み立てる戦略方針、「明るい会」選挙体制のあり方は十分な議論が求められている。

 

4.さいごに

維新政治が始まって15年が経過し、府下44自治体の内、維新公認の首長が20自治体に広がり、維新以外の自治体でも大きな影響を与えている。有権者の3割が吉村氏に投票する背景には、国政や自治体行政における暮らしや安全が

 

 

脅かされる悪政が続くもとで、漠然とした「政治不信」がまん延し、そこに維新政治への評価と期待が結びついている。

「明るい会」としては、府民にわかりやすく「どんな府政をめざしていくのか」「住民の立場から公共の役割とはなにか」など府民目線で働きかけ、住民に役立つ情報発信で身近な自治体づくりを示し、維新政治から「いのちとくらしを守る府民が主人公の府政」に転換する方針と展望を示すことが求められている。「知事選での勝利に何が必要か」府民要求に基づいた日常活動の重要性など、4年後を見通して早い段階で計画的な取り組みが重要である。

そのなかで、維新政治から「府民の声が届く府政」の実現をめざしていく必要性を訴え、府民的な多数派形成をつくることが急務となっている。維新府政の動向とともに、府民の声に絶えず耳を傾けて、幹事団体と地域連絡会からの双方向の意思疎通をはかり、さまざまな要望や意見を集約して、常任幹事団体を先頭に引き続き奮闘する決意である。

 

活動報告|18:22

twitter